システムとは、台のクッション際に並んだダイヤ(目印)に数値を割り当て、その引き算や足し算で「どこに向けて撞けばよいか」を求める方法です。感覚だけに頼らずに狙いを立てられるため、空クッションの精度が上がります。
システムの前に知っておくこと
システムは万能ではありません。数値は「その撞き方をしたときに、だいたいここに来る」という経験則をまとめたものです。前提が崩れると答えもずれます。
- 決められた撞点で撞くこと(ひねりの量が変わると経路が変わります)
- 決められた強さで撞くこと(強すぎても弱すぎてもずれます)
- 台とラシャの状態が安定していること(湿度・使い込み具合で変わります)
つまりシステムは、まず自分の基準の撞き方を固め、その基準で台がどう反応するかを確かめてから使うものです。数値どおりに行かないときは、システムが間違っているのではなく前提がずれていると考えます。
ダイヤの数え方
どのシステムを使うにしても、出発点は同じです。クッション際に並んだダイヤを、位置の目盛りとして読みます。
赤い印のように、ダイヤとダイヤの間は半分や4分の1でも読みます。
読み取るのはダイヤそのものではなく、ダイヤと同じ位置にあるクッションの面です。ダイヤは的の位置を示す目印にすぎません。
数値はシステムごとに振られる
ここが最初につまずくところです。ダイヤの位置は同じでも、割り当てられる数字はシステムによって違います。同じシステムの中でも、何を読むかで刻みが変わることがあります。
たとえばノーイングリッシュのタテ箱システムでは、手前の短クッションに2つのスケールが重なっています。
| 短クッションの位置 | 手玉として読む | 第3クッションとして読む |
|---|---|---|
| コーナー | 0 | 0 |
| ダイヤ1つ目 | 5 | 7.5 |
| ダイヤ2つ目 | 10 | 15 |
| ダイヤ3つ目 | 15 | 22.5 |
| 反対のコーナー | 20 | — |
同じ場所を指していても、手玉として読むなら 10、第3クッションとして読むなら 15。「いま自分はどのスケールを読んでいるのか」を意識しないと、計算は合いません。
よくある間違い
別のシステムの数値を、そのまま持ち込んでしまうこと。数字が同じ「15」でも、システムが違えば指す場所が違います。図表を見るときは、必ずどの辺のどのスケールなのかを先に確認してください。
多くのシステムは引き算で成り立つ
スケールの振り方は違っても、計算の形は共通していることがよくあります。
基本の形
手玉の数値 − 第3クッションの数値 = 第1クッションの数値
第3クッションのどこに落としたいかを先に決め、そこから逆算して第1クッションの狙いどころを出す。ファイブアンドハーフシステムも、タテ箱システムも、この形です。
つまり新しいシステムを覚えるときに理解すべきなのは、計算式そのものよりも「どの辺に、どんな刻みで数値が振られているか」のほうです。
ファイブアンドハーフシステム
もっとも基本になるシステムです。計算は上と同じ引き算で、手玉の位置と通したい第3クッションが読み取れれば、狙うべき第1クッションが求まります。
数値の振り方は、資料によって説明が食い違うところがあります。ここで断定せず、 記事のほうで実際に使っている振り方とあわせて紹介していく予定です。
ノーイングリッシュ タテ箱システム
手玉が短クッション側にあってセブンシステムが使えないとき、ヒネリのシステムでは出過ぎるときに使います。撞点はセンター、計算は 1st = CUE − 3rd。
ノーイングリッシュのタテ箱システム 数値の振り方と、2つの計算例シミュレーターで試す
数値の感覚をつかむには、実際に球筋を動かしてみるのが早道です。台の上で配置を変えながら試せるツールを用意しています。計算どおりの経路を通るか、その場で確かめてみてください。